2025/11/10

朝、玄関を開けた瞬間の空気が、少し違って感じられる。
潮の香りに混じって、ひんやりと澄んだ風。
立冬を迎えた葉山は、
海の青さがぐっと深まり、山の木々がゆっくりと冬支度をはじめました。
散歩の途中で見上げる空は高く、鳥の声もどこか遠くに聞こえるよう。
にぎやかだった夏の気配がすっかり遠のき、
町全体が静かに穏やかに感じられるこの時期が、私はとても好きです。
お店の窓辺に陽が差し込む午後、温かい飲み物を手にひと息つくお客様の姿を見ながら、
「冬は、やさしく人を落ち着かせてくれる季節だな」と感じます。

外に出る時間が少なくなっても、葉山の冬は豊かです。
夕暮れの浜辺で見る富士山の輪郭、冷えた頬に触れる潮風、
そして、暗くなるのが早くなるからこそ灯る家々の明かりのあたたかさ。
季節が変わるたびに、この町の表情も、暮らしのリズムも少しずつ変わっていきます。
立冬の頃は、その変化を静かに受けとめる時間。
急がず、慌てず、ゆっくりと冬のはじまりを迎えたい――
そんな気持ちになります。
慌しかった日々を少しずつ振り返り、心の引き出しを片付けていくように、
温かいコーヒーやお茶を丁寧に淹れたり
お気に入りのアロマやお香を焚いてみたり
ゆったり湯船に浸かってみたり
そんな小さな余白が冬のはじまりをやさしくしてくれる気がします。
冬の足音を感じながら。
今日も、楚々葉山でお待ちしております。
楚々葉山