2025/6/17
ただいまと言える風景に
楚々は、「おかえり」と「ただいま」が、静かに交差する場所です。
特別なイベントがあるわけではないけれど、ふと立ち寄りたくなる。
いつもと変わらない空間が、変わっていく自分を迎えてくれます。
そんな場所で飲むコーヒーは、何かを高らかに語るものではありません。
その人の今日の気分や、まだ言葉にならない感情を、静かに受け止めてくれる
存在。それが、楚々のコーヒーです。
今年の春、楚々のコーヒーは自家焙煎になりました。
一粒ずつの豆に、時間と空気と光が宿っていくような感覚。
焙煎という行為は、ただ火を入れることではなく、暮らしの粒子に命を吹き込むような儀式のようでもあります。
朝の光、午後の風、湿った土のにおい。
この土地に漂うすべての気配を受け取りながら、丁寧に焙煎された豆たちが、
今、私たちの手の中にあります。
スペシャルティコーヒーの世界では、産地や標高、精製方法、農園名など、丁寧に言葉を添えて伝える文化があります。それは、生産者へのリスペクトはもちろん、遠い場所からやってくる植物たちへの歓迎です。
その細やかさや、美しい探究心に、私たちは深い敬意を抱いています。
でも、楚々のコーヒーは、少しだけ違う立ち位置にいます。
“説明”よりも、“余白”のあるコーヒーでありたい。
ラベルの情報より、感じた温度や気配を大切にしたい。
それは、コーヒーという存在を「生活の中で感じる力」を信じているからです。
小さな発見や、なんとなくの心地よさ──
それを受け取ってもらえることこそが、楚々の喜びです。
楚々のオリジナルブレンドは、ほどよい柑橘のさわやかさと、とろりとした甘苦さが、静かに余韻を残すやさしい一杯。温度がゆっくりと下がっても、味わいは崩れず、むしろその変化が心地よく寄り添います。
華やかすぎず、主張しすぎず、
それでいて、ふとした瞬間に思い出す。そんな静かな記憶を残すブレンドです。
たとえばそれは、台所の隅に置かれた花瓶のような存在かもしれません。
なくても困らないけれど、あると場が整う。
暮らしの呼吸を整えてくれる、そんな一杯でありたいのです。
この場所で飲む一杯には、香りだけではなく、光や湿度、誰かの足音や、庭の緑が一緒に混ざっています。
ガラスの向こうに見える光と、誰かの笑い声と一緒に味わうコーヒー。
それは、五感で記憶に残っていくものです。
記憶にふれる、静かな余韻。もちろん、オンラインストアでも豆はご購入いただけます。
でも、もしできるなら、この空気と一緒に。
この空間の“音”と“光”ごと味わっていただけたら、何より嬉しく思います。
特別な日じゃなくても、美味しいコーヒーは飲める。
特別じゃない日だからこそ、心を解いてくれる一杯が必要なこともある。
楚々のコーヒーは、そんな「詩のある日常」のための一杯です。
何も飾らないけれど、きちんと寄り添う。
何かを変えるわけではないけれど、そっと支える。
焙煎機に火を入れる朝は、そんな日常の美しさを思い出すための時間でもあります。今日もまた、誰かの暮らしに静かに寄り添えるように。
いつもの朝に、旅先の夜に。
楚々の時間を、そして日常の中でも、どうぞゆっくりお楽しみください。
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楚々 葉山 ー「葉山らしく暮らす、私らしく生きる」
築100年の古民家をリノベーションした、自然や人にやさしい暮らしを提案する複合施設です。
コーヒー一杯から、どうぞご自由にお過ごしください。
営業時間:9:00–18:00
【毎週金・土 のみ8:00~】
楚々の朝ごはんは公式LINEよりご予約受付中(ご予約推奨)
6月のスケジュール https://www.instagram.com/p/DKYR9KnScRe/
オンラインストア https://soso-hayama.myshopify.com